抗リウマチ薬の使い分けについて 研修医レベルでまとめてみた
まず抗リウマチ薬は大きく分けて3種類。
リウマチ治療は抗リウマチ薬を中心に必要に応じてNSAIDs、ステロイドをしようする。
DMARDsとは?
→disease modified anti rheumatic drugs(疾患修飾性抗リウマチ薬)の略。
csDMARDs:conventional synthetic DMARDs
→いわゆる一般的な抗リウマチ薬。リウマチ治療の中心となる薬剤(アンカードラッグ)であるメトトレキセートもこれに分類される。
bDMARDs:biological DMARDs
→いわゆる生物学的製剤。特定のサイトカインやレセプターをターゲットにした薬剤。効果は高いがデメリットとして注射剤のみで、感染症などの副作用、薬価が高いなどある。MTX使用不可、抵抗性の患者に使用される。
tsDMARDs:targeted synthetic DMARDs
→特定の分子をターゲットにして作られた低分子化合物であり、内服の薬剤でありながら生物学的製剤と同等の効果を有するという利点がある。しかし生物学的製剤と同様に感染症の副作用や高価であるというデメリットがある。
関節リウマチの大まかな治療の流れ
- MTXを中心としたcsDMARDsで治療を開始する。しかしcsDMARDsは治療効果が出始めまで数週間から2ヶ月かかるものが多いため初期には症状や炎症の鎮静のためNSAIDや少量ステロイド(PSL換算で5mg以下)を使用して治療を行う。
- MTXまたはその他のcsDMARDsで効果がない場合や副作用や禁忌で治療が継続できない場合はbDMARDsを導入する。投与経路や頻度(1/週〜1/月)、基礎疾患、妊娠可能性の有無などを考慮してどの薬剤にするか決定する。MTXと併用した方が効果や長期使用継続率が高いため併用が原則である。
- bDMARDsを開始後も治療抵抗性である場合は他のbDMARDsやtsDMARDsへの変更を行う。
効果が不十分や治療抵抗性はどこで判断する?
→DAS(disease activity score)や勘弁性の観点からSDAIやCDAIといった基準が臨床では使用することが多い
1〜3ヶ月ごとにこの指標を評価し病勢を評価する。治療目標を作ってこまめに治療を調整することが関節リウマチ治療に重要である。
SDAI(simplified disease activity index)=圧痛関節数(0〜28)+腫脹関節数(0〜28)+医師の疾患活動性全般評価(VASで0〜10cm)+患者の疾患活動性全般評価(VASで0〜10cm)+CRP値
CDAI(clinical disease activity index)=圧痛関節数(0〜28)+腫脹関節数(0〜28)+医師の疾患活動性全般評価(VASで0〜10cm)+患者の疾患活動性全般評価(VASで0〜10cm)
分類 |
代表薬剤 |
投与経路 |
効果 |
費用 |
その他特徴 |
csDMARDs |
メトトレキサート サラゾするファピリジン ブシラミン イグラチモド タクロリムス 金製剤など |
経口 |
小〜大 |
安価なものが多い |
長期間使用されている薬剤が多く効果や副作用に関するデータが多い。 |
bDMARDs |
THFα阻害薬 IL−6阻害薬 CTLA−4阻害薬 |
皮下注射 静脈点滴 |
高い |
高価 |
メトトレキサート使用不可能または抵抗性の患者にしようすることが多い |
tsDMARDs |
JAK阻害薬 |
経口 |
高い |
高価 |
新しい薬剤。効果が高い。 |